当社は特許翻訳に関して後発であることから、斬新かつユニークなアプローチで差別化を図っており、品質基準が曖昧な「上手い翻訳」ではなく、「後工程でお客様を煩わせない翻訳」をお届けすることを基本方針としています。
ほんやく検定1級 - 確かな翻訳力
ベースとなる翻訳力が低ければ、どんなツールを使っても良い訳文は生まれません。当社の中村は、日本翻訳連盟(JTF)が1986年より実施している「ほんやく検定」で1級を保有しています。同検定における1級合格率は1%未満と非常に狭き門ですが、中村はこれまでに、特許(日英)、情報処理(英日)、情報処理(日英)の3科目で1級に合格しています。30年近くの歴史を持つ同検定において、異なる3科目で1級を保有している翻訳者は、少なくとも当時としては中村ただ1人でした。
資格だけでなく、翻訳者としての経験も豊富で、情報技術関連を中心に20年以上に及ぶ翻訳実績があります。
機械翻訳の最適利用
2016年ごろに登場したニューラル・トランスレーション・ネットワーク(NMT)と称するシステムによって機械翻訳の品質が大きく向上し、翻訳という仕事が、近い将来コンピュータに奪われるのではないかという声も聞かれるようになってきました。
しかし、NMTは、決して人間の翻訳プロセスを模したものではなく、バイリンガルコーパスと呼ばれる対訳データベースを基に、数学的・統計的に正しそうな対訳をコンピュータが判断して提示することしかできません。文脈は一切織り込めませんし、原文にタイポや誤変換があったり、論理的に矛盾があったりしても、それを間違いだと判断することもできません。詳しくは別稿に記載しておりますが、NMTに頼るのはまだまだ危険度が高く、使いこなすにもノウハウが必要です。
その一方で、NMTには次のようなメリットがあります。
- 短い文や定型文の精度は高く、速さは人間の100倍
⇒ NMTを適用する文を翻訳者が上手に選定することで、品質を犠牲にすることなく、翻訳速度全体を上げることができます。
- あらゆる分野に対応
⇒ 膨大な翻訳資産に基づいて訳語を判断・提示するため、専門用語の正確性を担保する翻訳者の手間が軽減されます。
- 工夫次第で精度を改善可能
⇒ NMTが解釈しやすいように原文を書き換えたり、用語集を適用したりすることにより、翻訳精度を大きく高めることができます。
機械翻訳は、最終的な訳文を出力するツールとして使用するのではなく、最終的な翻訳文に至るプロセスを短縮する下訳生成手段として割り切って使用するのが、プロ翻訳者にとっての正しい使い方であり、当社はそのノウハウを身に付けています。
TRADOSの最適利用による速度と品質の両立
TRADOSをはじめとする翻訳メモリについて、「品質を犠牲にして生産効率を上げる」ツールだという印象を抱いている人が業界内にも少なくありませんが、その認識は間違っています。
TRADOSは、過去の翻訳文との整合を保つという本来の機能に加え、単語単位での表記揺れを防ぎ、訳漏れも防止するという性質も持っています。「過去訳との整合を保ち」、「表記揺れを防ぎ」、「訳漏れを防止する」ということは、言い換えれば品質を高めるということに他なりません。
TRADOSはその構造上、文単位で訳すことが促されるため、訳文の結束性、すなわち文章の自然な流れが失われやすいという欠点を殊更に強調する人がいますが、TRADOSがほとんど使用されていない特許翻訳においてこそ読みにくい文が多いという現状を考えると、結束性の弱さの原因をTRADOSに求めるのは、あまり的を射ていません。
当社では何と20世紀からTRADOSを愛用しており、おそらく日本で最もTRADOSの使用歴が長い特許翻訳者です。TRADOSの弱点を正しく認識した上で、その長所を最大限に発揮させることができます。
TRADOSは決して操作が難しいソフトウェアではありませんが、経験のない人が自力で使いこなすのは少々困難です。TRADOSでとりあえず何ができるのかを見たいという方には、実際にTRADOSを使って特許明細書を翻訳する様子をお見せしますので、お気軽にお問い合わせください。
色分けツールによる二重の訳漏れ・表記揺れ防止対策
機械翻訳と翻訳支援ツール、目視を組み合わせた当社のワークフローは、生来的に訳漏れや表記揺れが発生しにくいのですが、特許翻訳において、数字の間違いや漏れ、明細書と請求項とでの表記揺れは致命傷です。そこで当社では、繰り返し出現する用語や数字、案件を問わず同じ訳語が使用される語句を独自のツールで事前に色分けして目立たせることにより、訳漏れや表記揺れの防止に役立てています。
つまり、翻訳プロセスに二重・三重の訳漏れ・表記揺れ防止対策を講じることにより、これらの疎漏を限りなくゼロに近づけています。
お客様の要望を優先させる柔軟な姿勢
経験・実力のある翻訳者であっても、御社にとって必ずしも良い翻訳者であるとは限りません。会社にはそれぞれ独自の文体や表現、さらには業務慣例といった企業文化があり、それらを受け入れ、対応できる柔軟性は、一般に経験年数が増えるに従って衰えていくからです。ベテランの翻訳者が、長い年月を経て確立した自身のやり方を変えて相手に合わせることはなかなかできないものです。
高校しか出ておらず、専門性も低かった私にとって、特にキャリアの初期は、柔軟性だけが取り柄でした。20年以上の経験を積んだ今となっては、翻訳者として譲れない一線もありますが、初期に身につけた様々な技能と柔軟性で、お客様の細かいご要望にも概ねお応えできます。
御社独自のスタイルや要望にはできるだけ沿えるよう努力しますので、どうぞお気兼ねなくお申し付けください。