製品紹介(5) NVMe

当社が2023年7月にリリースした翻訳者向けパソコン「LGP4」は、NVMe対応の高速SSDを採用しています。

何のことだかチンプンカンプンという方が多いと思いますので、もう少し詳しく説明します。

まず、SSD(Solid-state Drive)というのは、データを記憶する装置の一種です。これまで、パソコンのデータ記憶装置には、ディスクを回転させ、ヘッドを物理的に移動させてデータを磁気的に記録するハードディスクドライブ(HDD)というデバイスが長らく用いられてきました。しかし、HDDは機械的な原理で動作するため、非常にデリケートで振動に弱く故障しやすい、ディスクを物理的に回転させるため、どうしても回転音が出る、さらには消費電力が大きく、小型化・軽量化が難しいといった欠点を抱えていました。

これらの問題を解消するデバイスとして登場したのがSSDです。SSDは記憶素子にフラッシュメモリを用いており、半導体でデータ記録処理を行っているため、HDDよりも小型・軽量で振動に強く、消費電力は少なく、機械動作を伴わないため動作音がないなど、HDDよりも圧倒的に優れたデバイスです。2010年頃から徐々にパソコンに採用され始め、現在ではほとんどのパソコンの記憶装置が、SSDに置き換わっています。当社のパソコン製品も、初期のモデルではHDDを採用しており、HDDの故障が何件か発生してユーザーの方に迷惑をかけてしまうことがありましたが、SSDを採用した先代モデルでは、故障による保証適用が1件も発生していません(母数も多くありません)。

次に、NVMeという用語について説明します。正式にはNon-volatile Memory Expressといいまして、SSDに最適化させた通信規格のことです。SSDが登場した頃には、AHCIという規格が用いられていましたが、AHCIは、ざっくり言えばHDD時代からのレガシー規格であり、HDD時代の仕様を引き継いた過渡的な規格でした。そのため、通信速度に限界があり、この制約が、パソコン性能のボトルネックになっていました。

AHCI規格のHDDの通信性能を示すのが次の画像です。

並んでいる8つの数字のうち、最上段の数字が、記憶装置の性能指標として一般に用いられています。つまり、読み書きともに最高で毎秒100MBというのが、標準的なHDDの性能ということです。この数字が大きいほど、データの読み書きが速く、高性能です。

2010年代に入ってHDDからSSDに置き換わると、この数字が大きく向上します。下の画像は、AHCI規格のSSDの性能を示したものです。

HDDと比べると、すべての項目で数字が上がっており、項目によっては300倍以上に跳ね上がっています。HDDからSSDへの移行は、コンピュータの記憶装置におけるイノベーションともいえる事象だったのです。ちなみに、LGP4の先代モデルである「LGP 3.0」には、このタイプのSSDを搭載していました。

そしてこのAHCIをさらに進化させたのが、NVMeです。LGP4ではNVMe規格のSSDを採用しているので、実際に測ってみました。その結果が下図です。

ご覧のとおり、ほぼすべての点でAHCIのSSDよりも上回っていることがわかります。実際に使ってみるとわかりますが、NVMeは本当に強力で、その威力は、パソコンの電源スイッチを押したときに早くも実感できます。これまで時間がかかっていたWindowsの起動があっという間に終わり、わずか10秒あまりでデスクトップ画面が出るのです。

NVMeが優れていることは上図から明らかですが、高速で動作する分だけ発熱量が多いことに加え、やや高価であることから、AHCI規格のSSDにもまだ相対的な優位性があり、多くのパソコンに採用されています。特に、排熱処理が難しい薄型のノートパソコンではNVMeが敬遠される傾向があるようです。

LGP4は、すごく安いパソコンというわけではありませんが、NVMe規格のSSDを採用したパソコンとしては、それほど高価ではありません。

NVMeの実力を体感してから購入を検討したい方のために、LGP4は、返送料(1000円程度)のみのご負担で試用できる貸出機を用意しております。試用をご希望の方は、こちらからお気軽にお申し込みください。試用期間は1週間です。お気に召さなければ、無言でご返送いただければ結構です。翌日から大量のスパムメールが届くようなことはございませんのでご安心ください。

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