「すなわち」という表現は「つまり」と同様、「that is」と訳されることが少なくありませんが、「that」が意図する内容が明確に述べられていない場合には、ほとんどが誤りです。、「すなわち」というつなぎ言葉は、長文やパラグラフ全体にわたって述べた複雑な概念に言及するときに用いることの多い表現ですから、「in other words」と訳した方が適切です。「that is」を使うのは、「that」の意味する内容が文脈からわかり、具体的な言葉で示すことのできる場合に限ります。通常、英語では、「that is」の後には名詞の単数形が続き、新しいパラグラフが長々と続くことはありません。 また、「すなわち」は、前述の内容を改めて詳しく説明するのに用いられることもありますが、その場合には、「specifically」や「more specifically」と訳せます。

「Xは明確ではない。すなわち、Y。」という一文を英訳するなら、「in other words」を使うよりも、

X is not clear. Specifically, Y is the case.

の方が適切です。

スピーチの一節である「一方、会社はこの時代にもひとつ事業展開を行っています。それはスパークプラグの一番大事なところでもある絶縁体、すなわち、焼き物を作るということです。」という一文における「すなわち」は、前に述べたことを別の観点から表現する目的で使われています。妥当と言える翻訳案を挙げるなら、

In this era we began to develop business in insulators, regarded as the most important part of a spark plug. Expressed in different terms, we began to produce porcelain.

といったところでしょう。2文に分けることが、焼き物の製造開始という重要な節目を強調するのに有効です。

すなわち、『一歩先行くものづくり』をお願いしているわけです。」という一文における「すなわち」も、前述の内容を簡潔にまとめたり、やや異なる観点から述べたりするのに使われていると言えます。翻訳案を挙げるなら、

Expressed in different words, I am asking you all to devise manufacturing expertise that is constantly one step ahead of our competitors.

あたりが妥当でしょう。

それに対し、「それが全体として機能していくためには、プランすなわち指標をつくることが非常に大事です。」という一文における「すなわち」は、つなぎ言葉としての役割を担っているわけではありません。英訳するなら、

In order for everything to function as a complete unit, the formulation of an overall plan, in other words a set of concrete objectives, is vitally important.

あたりが適切でしょう。