以下に示すのは、名詞と動名詞の使い分けについて、手掛かりとなるような一定の規則がない英語の複合語の例です。特に専門用語がわからない場合に、対象分野で最も使用頻度の高い表現を見つける現実的な方法としては、『McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms (現代科学技術英語大辞典)』など、良質な辞書にあたる以外にありません。

印刷機器」は、「print device」ではなく、「printing device」です。

印刷情報」も同様で、「print information」ではなく、「printing information」です。

印刷処理」も、「print processing」ではなく、「printing procedure」です。

印刷エラー」も、「print error」ではなく、「printing error」と表記するのが適切です。

ガス回収方法」は、「gas collecting method」ではなく、「gas collection method」です。

編集処理」は、「editing procedure」です。

「エラー報知処理」は、「error notifying processes」ではなく、「error notification procedure」です。

報知機器」は、「notifying device」ではなく、「notification device」です。

インキ抽出装置」は、「ink extracting apparatus」ではなく、「ink extraction apparatus」です。

摩擦搬送力」は、「frictional carrying force」ではなく、「frictional conveyance force」が適訳です。

電力産業」は「electric power industry」です。

エジェクトピン」は、通常、「eject pin」ではなく、「ejection pin」とします。

ガス導入部」は、「gas introducing section」ではなく「gas introduction section」と訳すのが通例かつ好適です。厳密に文法的観点から言えば、英語の「section」は、ガスを導入する箇所であり、section自体がガスを導入するわけではないということです。日本人翻訳者に多い「gas introducing section」のような訳でも理解は可能なので、特におとがめを受けることはありませんが、曖昧な表現にならないように、このような誤用は避け、英語圏で一般に使用されている表現を使うようにしましょう。

断熱効果」も同様で、「heat insulating effects」ではなく「heat insulation effects」が適訳です。

情報要求手段」は、「information-requiring means」よりも、「information-seeking means」の方が訳語として適切です。一次翻訳者は、日本語の「要求」という語が英語の「require」よりも広い意味を持つことを十分に理解していません。「require」がやや受動的な意味合いを持つのに対し、「demand」や「seek」ははるかに能動的な意味合いを持っています。

個体識別情報」は、

private identification information

よりも、

items of exclusive identification information

の方が好ましく、場合によっては、

items of identification information about individuals

でも良いでしょう。

特許出願書の場合には、英語圏で提出された出願書に使用されている表現を参考にすると良いでしょう。この種の文書で使用されている英語表現は、文法規則よりも慣習的用法が優先されている場合もあります。また、日本人技術者は、日本人同士のコミュニケーションの中で英語の専門用語を略すことが少なくありませんが、日本国外では、そのような略語が必ずしも理解されないということを翻訳者として心得ておくことが大切です。

英語圏の技術者に実際に使用されている専門用語を知るには、英語を母国語とする国から米国特許商標局に提出された特許出願書を確認するのが最適です。