374. 「時」に関する表現: 「順次」の訳語

プレスリリースにおける「その他2口径(C、D)も順次リリースします。」という一文を英訳するなら、

The other two aperture types (C, D) will be released soon.

ではなく、

The two other aperture types (C and D) will be released at a later date.

が適切です。日本語の原文では、敢えて曖昧な意図を伝えるために「順次」という表現を使っているので、英語でも同様に曖昧な表現を使う必要があります。「soon」を使うと、その意味するところは何なのかと読者を悩ませて、誤解を招きかねません。それに対して、「at a later date」もしくは「in due course」を使うと、それ相応の曖昧性を持ちながらも、この企業はこの時点でこれ以上の情報を提供できない、あるいは敢えて提供しないことにしているという明確な印象も読者に与えます。つまり、英語圏では、「at a later date」を使うのが普通で、誤解を招きかねない「soon」は使いません。実際に英語圏で使われている表現に関心を持っている翻訳者なら、そのような知識を備えているはずです。

技術翻訳の場合には、「順次」を「sequentially」と訳すのが最適であることが多いでしょう。

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