60. 現在完了時制:「終える」、「終了する」と「complete」
「AおよびBが完了すると、Cが…
という一節の正しい英訳は、
when A and B are completed, C…
ではなく、
when A and B have been completed, C…
です。
「測定が終了したら」という一節も同様で、
when measurement is ended
ではなく、
when (またはonce) measurement has been completed
と訳すのが妥当です。
「X検査が終了するたびに、クリーニングを実行する。」についても、
cleaning is performed every time that an inspection finishes
ではなく、
cleaning is performed every time that an inspection has been completed.
または
cleaning is performed whenever an inspection has been completed.
です。
「作業終了後は、」も同様で、
once work is done
ではなく、
once a task has been completed
です。当然のことながら、「終了」と書かれていても、必ずしも「complete」という単語を使って訳す必要はありません。
「麻酔終了時、安定性を改善するために、Xを行うべきである。」という一文であれば、
After anesthesia is ended, X should be done to improve stability.
ではなく、
After anesthesia has been administered, X should be done to improve stability.
です。この文の基本的な問題は、時期という観点から見て、日本語の「終了」の意味が極めて不明瞭であり、曖昧な使用語彙のために、翻訳者によってまったく異なる訳文が生まれてしまう可能性があるということです。この文に関しては、文脈全体から、「has been administered」がおそらく筆者の意図に相当する英語表現であろうと推定できますが、この種の言い回しは、翻訳者に「推測作業を」強いるものであり、「麻酔終了時」のように、主語がなく、「麻酔」のどの局面が「終了」なのかが明示されていない表現を使うと、どうしても危険が伴うことを表す極端な例です。和文の起草者は、他言語に翻訳しやすい文章、すなわち明瞭・明確な和文を書くことが強く望まれます。