39. 日本語の現在時制:英語の現在進行時制の翻訳

企業パンフレットで見かける「Xグループは、事業の発展と環境保全の両立を図った持続可能な社会の実現を目指しています。」という一文の英訳としては、

「X-group strives to achieve a sustainable society in which business interests and environmental preservation activities exist in harmony.」よりも、

「X Group is striving to achieve a sustainable society in which the development of our business interests and our environmental preservation activities can take place in harmony.」の方が適切です。

この文は、和文の趣旨を適切に伝えるのに、何はともあれ現在進行形を使うことが不可欠である一例です。上記訳例と似ていますが、「X- Group is determined (or ‘resolved’) to achieve…….」という表現も、代替案として挙げられるでしょう。一次翻訳者が使った現在形の表現は、無機質であるが故に、社長のメッセージを公開するという目的の一部が、許容できない程度にまで減じられてしまいます。もう1点、「striving to achieve a sustainable society in which」の後に使用する動詞は、「exist」よりも「can take place」の方がはるかに適切な言い回しです。

同様に、「昨今は、外資を呼び込む国を挙げての制作や、日本企業に投資する外資系ファンドの増加などから、日本人の中でグローバルの視点で企業を見る目が肥えてまいりました。」という一文を英訳するなら、

「Nevertheless, because of government policy that invites foreign investment in Japan, greater foreign-based funding of Japanese companies, and other factors, in this day and age there are Japanese people who look at companies with an experienced eye and a global point of view.」よりも、

「Nevertheless, because of factors such as Japanese government policy that promotes foreign investment into Japan, and increases in foreign-based funding of Japanese companies, in this day and age there are Japanese people who are looking at companies not only with an experienced eye but also from a global point of view.」の方が適切です。

この文は、英語で現在進行形を使うことが極めて望ましい一例です。

日本の弁理士から米国の特許事務所に対する指示書という状況で使用される「今回のオフィスアクションに対する当方の見解をお送りしますので、期限までにXとYを提出してください。」という一文の適訳は、

「We will send you our comments on an office action of this time.」ではなく、

「We are setting out below our comments on the recent Office Action, and we would be most grateful if you would submit X and Y well before the due date.」です。

最初の訳文で称されている「We will send you」は紛らわしい表現です。また、「of this time」という表現も、「今回」に対する適訳とは言えず、英語圏では通常「the recent」が使用されます。

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