ディスプレイを購入するに当って注意すべき 3 つ目の点は解像度です。解像度と一口に言っても複数の意味がありますが、ここでいう解像度とは画面解像度のことで、画面上にどれだけ多くの情報を表示できるかを数値化した指標で、ドットまたはピクセルという単位で表されます。

2000 年頃に一般的だったディスプレイは、サイズが 15 インチで解像度は 1024×768 ピクセルでした。それに対し現在の主流は、サイズが 24 インチ、解像度は「フル HD」と呼ばれる 1920×1080 ピクセルです。10 年余りで、サイズも解像度も約 2.6 倍に増えたことになります。

ただし、24 インチのディスプレイがすべて 1920×1080 ピクセルというわけではありません。24 インチのディスプレイには、もう少し解像度の高い 1920×1200 ピクセル (WUXGA) というタイプも、マイノリティではありますが出回っています。

LingoPRO の最大解像度は 1920×1200 ピクセルですので、どちらのタイプにも対応しているわけですが、翻訳者がどちらを選ぶかは難しい問題です。

作業性という点から見れば、解像度が高いに越したことはありません。翻訳者の場合、取り扱う文書は縦長のものが多いので、縦方向の表示量が多い WUXGA のディスプレイの方が好都合なのは明らかです。

問題は価格差です。24 インチのフル HD ディスプレイが 15000 円程度で買えるのに対し、流通量の少ない WUXGA タイプのディスプレイは、安いものでも 28000 円くらいします。

「情報表示量が 1 割増えるだけで 2 倍の価格なら、フル HD でいいよ」と考える人が多いと予想しますが、さらに悩ましい問題があります。

それはディスプレイの縦横比です。

フル HD の解像度は 1920×1080 ピクセルですので、縦横比は 16:9(8:4.5) です。WUXGA ですと、この値が 16:10、つまり 8:5 になります。

ご存知の方も多いと思いますが、8:5 という縦横比は、人間にとって最も心地よい比と言われており、黄金比とも呼ばれています。実際、私たちの身の回りにある長方形のもの、たとえば本やノート類、名刺、机、ドア、ダイニングテーブルなどは、ほとんどが 8:5 という縦横比になっています。私たちの目は、8:5 という縦横比に慣れているのです。

17 インチのディスプレイを使っていた人がフル HD の 24 インチに変えると、横幅の広さに大きな違和感を覚えます。なぜなら、17 インチディスプレイの解像度は 1280×1024、すなわち 5:4 であり、黄金比よりも正方形に近い形状から一気に横長の形状に変わるからです。

同じ 24 インチのディスプレイでも、フル HD と WUXGA では、解像度が異なる分だけ形状も異なります。数値的には僅かな違いなのですが、両方を比べてみたときの感覚差は大きく、フル HD のディスプレイには生理的に拒絶反応を示す人がほとんどだと思います。

フル HD のディスプレイを横に並べてデュアル構成にしようものなら、地球の裏側まで見えるのではないかと思わせる大パノラマ映像となり、もはや翻訳環境と言えそうにありません。

「じゃあ、ちょっと奮発して WUXGA にしようか。」

そう思った方、ちょっと待ってください。ここで WUXGA を買ってしまうのは少々拙速です。なぜなら、人間には慣れるという習性があり、普通の人なら、この程度の違和感はほんの数日で収まり、その後はそれが普通になるからです。

最終的にどちらのディスプレイを選ぶかは、本人の懐具合と、価値観に依存することになります。

ちなみに私は、WUXGA のディスプレイを使っています。「プロである以上、作業性こそが最優先事項だ。1万や 2万の投資をケチるべきでない」と考えたから…

… ではなく、愛用しているパソコンデスクのディスプレイ収納スペース幅が 560mm で、この幅に収まるフル HD ディスプレイがなかったからです…

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私の愛用デスク (画像をクリックすると拡大表示されます)