「in the case of …」は、日本人翻訳者が使いすぎる英語表現で、多くの日本人翻訳者に、「…の場合」という表現を画一的に「in the case of …」と訳してしまう悪癖が見られます。「in the case of …」という表現が過剰に使われていると、考えや出来事を区分けしたがる傾向が日本に浸透しているという印象を与えてしまいます。英語では文章やパラグラフの自然な流れを優先するのが普通であり、「in circumstances where …」と訳した方がはるかに自然である場合がほとんどです。直言すれば、「場合」という日本語を画一的に「case」と訳すべきでないということです。優秀な翻訳者であれば、安易に直訳するのではなく、元の和文が伝えようとしている根底的な意味合いを慎重に吟味するでしょう。「circumstance」は、便利でありながら、日本人翻訳者がなかなか使いこなせない英単語です。

 

「腹部のX線像の場合に同様の慎重な考え方が一般的に行われている。」という一文を英訳するなら、

In the case of x-ray of the abdomen, the same cautious philosophies prevail.

よりも、

In cases of x-rays of the abdomen, identical cautious philosophies prevail.

または

In the case of an x-ray of the abdomen, identical cautious philosophies prevail.

の方がやや正確です。この例文に関しては、「…の場合に」という表現を「in the case of …」と訳すのは適切かつ自然ですが、後に続く名詞に不定冠詞「a/an」を付けるか、名詞を無冠詞複数形にすることが重要です。

 

場合によっては弊社の提携ネットワークを利用し、よりスムーズな日本への進出をサポートいたします。」という一文を英訳するなら、

Depending on the case, we may use our affiliated networks to support you in making a smoother move into Japan.

よりも、

We may on occasions use our affiliated networks to support you in facilitating a smooth move into Japan.

の方が適切です。この例文に示すとおり、「on occasions」が、「場合によっては」の意味合いを適切かつ効果的に伝える一方、この種の文で「depending on the case」を使うのは不自然です。「場合によっては」という表現を画一的に「depending on the case」と訳すべきではありません。

 

同様に、「通訳者が限られておりますので、日程や内容によっては、お引き受けできない場合がございます。」という一文も、

Please do also bear in mind that numbers of qualified interpreters are limited, and that, depending on the dates proposed and the nature of the interpreting services envisaged, occasions may arise on which we may not be in a position to supply the interpreting services requested.

と訳すのが適切です。